PRESS RELEASE

プレスリリース

データセンター・サーバルーム向け省エネルギー空調システムを共同開発~ 日本最高レベルのPUE1.2台 ~

2011年7月28日
株式会社関電エネルギーソリューション
高砂熱学工業株式会社

 株式会社関電エネルギーソリューションと高砂熱学工業株式会社は、このたびデータセンター・サーバルーム向けに省エネルギー性に優れ、PUE値(*1)の大幅な低減が可能な空調システムを開発しました。

1.システムの概要

 データセンター(以下、DC)は一般事務所の冷房負荷と比べ、数倍から10倍以上にものぼる負荷密度を有する施設です。今後の「IT化」需要の高まりともあいまって、社会的なデータ処理量の増加、通信インフラの通信速度向上、サーバルームに収容するIT機器の性能向上・集約化により、ますます高負荷な施設となることが予測されています。それに伴う冷却に要するエネルギーの増加に対し、空調システムの高効率化は大きな課題です。

 今回開発した空調システムは従来の床吹出方式ではなく、空調機械室間仕切壁を介して直接サーバルーム内に冷気を供給する方式(壁吹出方式)を採用しています。それにより通常の床吹出用空調機動力が約1/3ですみ、空調システム系の大幅な動力低減が可能となります。さらに、コールドアイルへの給気の整流機構を開発したことで、冷気をラック近傍まで安定して供給できるため、ラック吸込温度が一様になります。これにより、ホットスポットが発生しにくく、高負荷ラックの冷却にも対応できるシステムとなっています。(別紙1「空調システムフロー」別紙2「開発システムと床吹出方式との温度分布比較」参照)

<主な特徴>
  • ①省エネルギー性では、サーバ室冷却エネルギーを66%削減(*2)
    低圧力損失(通常の床下吹出用空調機動力の約1/3の動力)の空調システムであることにより、電力消費量の大幅な低減と、それによる低PUE値の実現。
    フリークーリングや外気冷房の導入により、さらなるPUE値の低減が可能。
  • ②高負荷ラックへの対応も可能で、基本的にホットスポット対策不要
    給気の整流機構により、従来の床下吹出方式で懸念されるラック設置位置による冷気供給量の過多・過少がなく、ラックへの冷気を安定供給。サーバルームの全体空調でありながら局所高負荷のラックも対応。
  • ③空調機は単体で冗長構成(*3)が可能。中央熱源方式の屋内構築型大規模DCでも、順次増設に対応するモジュール型サーバ室も可能。
  • ④建設コストでは、フリーアクセス不要で安価
    床下冷気供給空間としてのフリーアクセスが不要。電源・通信線等との干渉がない。設計階高の低減による建築コスト削減可能。
2.共同開発の経緯

 開発は2009年12月から実大模型実験に着手。これまでの実験検証、各種シミュレーションを通じシステムの風量、配分、温湿度設定等に関するデータを収集し、最適なソリューション提供に向けた準備を行なってきました。基本特許を2010年3月に、改善のための特許を同年7月、12月に共同出願しております。
 これらの知見を建物・設備の建設・運用に活かし、データセンター施設の高効率・省エネルギー運用につなげてまいります。

3.今後の展開

 本開発システムの販売に関しては、商品名は(株)関電エネルギーソリューションが「Muro brezzaムーロブレッザ(イタリア語のそよ風)」、高砂熱学工業(株)が「IDC-SFLOW アイデーシーエスフロー(*4)」で、お客様へ提案活動を行っております。このたび日本ユニシス小浜データセンターへの導入が決定し、現在、実施設計に着手しています。

【用語解説】
  • (*1)PUE(Power Usage Effectiveness)値 DCのエネルギー効率を示す指標。
    PUE =(施設全体消費電力)/(IT関連機材消費電力)
  • (*2)PUE値=1.6(優良省エネデータセンター)程度の規模条件を想定し、本システムを導入した試算と比較。空調冷却負荷の66%低減を見込む。(施設立地想定:大阪、コールドアイル24℃程度、熱源関係の省エネルギーも総合的に考慮して年間PUE値1.2台)
  • (*3)冗長構成 トラブル時のバックアップ機能を考慮した構成
  • (*4)IDC-SFLOW アイデーシーエスフローは商標登録中。

以   上

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