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お問い合わせ導入事例
近畿日本鉄道株式会社さま(大阪府東大阪市)
導入費用と手間を抑えながら
「大容量蓄電池システム」を導入し
契約電力約10%カットに成功!
近畿・東海地方の2府3県に、500kmを超える路線網を持つ近畿日本鉄道さま。「近鉄」の名で親しまれ、年間約5億人の乗客が利用しています。
大規模災害による電車停止時の安全確保や電気料金削減のため、鉄道業界で先駆けとなる大容量蓄電池システムの導入を検討。コストや手間を抑えた導入・運用を実現すべく、「ユーティリティサービス®」を活用。その背景や導入後の効果について伺いました。
抱えていた課題
ピークカットすることで
契約電力を下げて
電気料金を削減したい
鉄道施設特有の課題
大規模災害対策として
「非常走行用電源」の
備えが必要
大容量蓄電池を設置して
「VPP※1実証事業」に
参画したい
費用対効果が期待できるリチウムイオン電池の提案
補助金申請や消防関係などの手続きサポート
施工管理を任せることができ、立ち会いもほぼ不要
蓄電池からの放電で
ピークカットに成功
契約電力を
約10%削減へ
24時間体制の監視で
トラブルも素早く察知
協力体制により
スピーディに解決
BCP※2対策やDR※3参画など
得られる成果多数
有益な取り組みとして
業界内で注目される
当社では以前から、大容量蓄電池システムの導入を検討していました。主な理由は三つあります。
まず一つ目は、非常走行用電源を確保するためです。大規模災害により広域停電が発生すると、電車が停まってしまいます。特に、「難波線の地下区間」や「奈良線の生駒トンネル」内で停まった場合、電車を最寄り駅まで迅速に移動させることが、ご乗車のお客さまの安全な避難につながります。そこで大容量蓄電池を設置して、非常走行用電源を確保したいと考えていました。
二つ目は、電力のピークカットを実現するためです。大容量蓄電池があれば、一定使用量を超えた際に放電することで最大電力を抑制し、電気料金を削減できるという期待がありました。
三つ目は、地域内に分散する発電設備や蓄電池をつなぎ、一つの発電所のように制御する「VPP実証事業」へ参画するためです。
これらの理由から大容量蓄電池システムの導入を検討していましたが、多額のコストが必要になるため、当社の単独工事では投資回収が見込めず、なかなか踏み切ることができませんでした。
そうした中で注目したのが、Kenes様の「ユーティリティサービス®」です。グループ会社が高層複合ビル「あべのハルカス」で同サービスを活用し、成果が出ていました。そこで、大容量蓄電池システムを構築できないかと、Kenes様に打診したのです。
そしてご提案いただいたのが、電気自動車で有名な米国テスラ社製のリチウムイオン電池でした。Kenes様のご提案は費用対効果が期待できると判断し、奈良線の「東花園変電所」内に設置することが決まりました。
Kenes様との打ち合わせでは、設計からシステム点検を含む維持管理まで幅広い話をして、その都度疑問にも答えていただきました。懸案事項だったコストの問題がクリアできただけではなく、細やかなサポートが受けられたのも、「ユーティリティサービス®」ならではだと感じています。
例えば、導入に際しては、補助金申請や消防関係などさまざまな手続きが必要でしたが、Kenes様がご協力くださったので助かりました。工事の施工管理もお任せできたので、工事中の立ち会いはほぼ不要。保守班の負担軽減ができたのもありがたかったです。
なお導入後も、「ユーティリティサービス®」には保守メンテナンスが含まれているため、係員の負担の軽減にもなっています。故障対応に関しても、24時間体制で監視していただいており心強いですね。蓄電池や蓄電池制御のためのEMS(エネルギーマネジメントシステム)に何らかのトラブルが発生したときは、当社の指令所にも出力されます。そのため協力しながら、迅速な対応ができている状況です。
東花園変電所内に設置した大容量蓄電池システムは、出力が4.2MW、容量は約7MWhです。このような大規模システムを導入したことで、さまざまな成果が得られました。特に、電力のピークカットに関しては期待通りの効果につながり、契約電力で4,000kWも減らすことができました。これは契約電力の約10%に相当します。
災害対策も進みました。電車の「非常走行試験」を行い、実際の送電手順を確認したことで必要な対策も分かり、非常時対応の安心にもつながったと感じています。
VPPに関しては、関西電力様主導で行われた2023年度のデマンドレスポンスに参画しました。関西電力様から要請があった場合には蓄電池から放電して電力購入量を減らし、安定供給に貢献できればと考えています。
このように大容量蓄電池システムは、電気料金削減や緊急事態発生時のためのBCP対策、そしてデマンドレスポンス参画など、多くの効果が期待できるシステムです。他社からも「見学したい」という依頼を複数受けており、業界内で関心の高い設備だと実感しています。
2023年秋季からは新たな取り組みとして、再エネ発電量が多い際に行われるデマンドレスポンスのテストにも参加しました。関西電力様と協力して本運用を目指しているところです。なおデマンドレスポンス発動指令が出た際、現在は蓄電池への放電や充電操作などを手動で行っています。本格的に活用するにあたり、Kenes様と相談して、将来的には自動化できたらと考えています。
鉄道会社にとって安全運行は使命であり、当社では災害に強いインフラづくりに取り組んできました。このたびもその一環として、大規模災害などにより広域停電が発生した場合を想定してシステムを導入いたしました。今後もKenes様と共に、お客さまの安全・安心を最優先にできるインフラ整備を進めていきたいと考えています。
※掲載情報は取材当時の内容です。
お客さまプロフィール
近畿日本鉄道株式会社さま
所在地:
大阪市天王寺区上本町6丁目1番55号
事業概要:
近畿・東海2府3県(大阪・京都・奈良・三重・愛知)で、主要都市や観光地を結ぶ鉄軌道事業、索道事業および、志摩スペイン村・生駒山上遊園地等旅客誘致に係る事業を担う。